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    • 2016.04.04 Monday
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     山犬

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               「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                         ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                    
       最終話 その後


       
      あれから 3年の時が 流れた ・・・・・

       裏山には アスファルトの道路が 敷かれた

       そして 今では 砂利の採取も 下火となり

       残されたのは 自然破壊の 爪痕だけである



       しかし 町の人たちの生活は 楽になった

       バスも 通るようになった

       学校へも 今までより 早く 行けるようになった



       良太と 高志は

       いつもの ポプラ並木を

       いつものように 歩いていた



       「リョウちゃん どこの高校へ 行くの?」

       「町の工業高校さ」

       「お母さん 大丈夫?」



       母 良江は 過労のためか

       数日前から 入院していた

       父 敬一郎の会社は 不況の折から

       傾きかけていた



       「高校を 卒業したら 働くんだ」

       良太は 遠くを ながめるように つぶやいた

       「あれから 山犬に 会った?」




       高志は いつも 興味本位だ

       「いや あれからは 会ってない ・・・・ 」

       良太は 少し 淋しそうだ



       「そういえば テレビのニュース 見た?」

       「どんな?」

       「汚職事件で 黒沢議員が 捕まったって ・・・・ 」



       良太には 思い出したくない 名前だ

       「ああ 話は 聞いた」

       彼の 返事は そっけなかった



       しばらく 沈黙が 流れた

       「そうだ 帰りに シゲじいの家に 行こうか!」

       名案を 見つけたようだ



       「いいけど 娘さんの赤ちゃん 生まれたばかりだから」

       「平気 平気! 娘さんの家 知ってる?」

       「なんだよ 家も知らないのに 行こうってか!」



       良太は 笑った

       高志も 笑った

       ふたりの笑い声が 天にこだました ・・・・         (おわり)



       
      ※ 長い間の ご購読・ご声援 ありがとうございました!

          みなさんも アスファルトの道路を歩くとき

                 その下に眠る たくさんの命を 思い出してください

                          そして 良太と 山犬たちを 思い出してください ・・・・・   



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      もんきーそふと

       山犬

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                 「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                           ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                      
         第35話 終焉


         「お 教えてやる ・・・・ ど どんなに痛いか ・・・・ どんなに苦しいか ・・・・ 」

         良太は 銃を構えたまま 黒沢に詰め寄った

         彼の 鼻先まで 銃口は来た



         「わ わかった ・・・・ わ わるかった ・・・・ 」

         黒沢は ペコペコと 頭を下げた

         良太の目は 涙で曇り ライフルの重さに 手が震えた



         「リョーちゃーん!」

         高志の 呼ぶ声がする

         「おーい! やめるんじゃー!」

         シゲじいの 声だ




         良太の気持ちが 一瞬 ゆるんだ

         そのすきに乗じて 黒沢が 良太の持つ銃に つかみかかった

         ふたりの体が もつれて 倒れ込んだかと思うと

         大きな 銃声が 響いた



         しばらく あたりは 静まり返った

         恐る恐る 黒沢は 立ち上がると 

         「お おれは 知らん ・・・・ おれじゃない ・・・・ おれは悪くない ・・・・ 」

         うわごとのように つぶやきながら

         その場から 逃げ去るように 走り出した




         良太は 倒れたままだ

         あわてて シゲじいと 高志が 駆け寄った

         「おいっ! しっかりしろ!」



         シゲじいは 彼の体を 大きく ゆすった

         「 ・・・・・ 」

         「りょ りょちゃーん ・・・・ 」

         高志は 泣きだした



         シゲじいは 彼の体の あちこちを

         捜して 回った

         「うっ うっ ・・・・」

         「りょ りょ りょーちゃーん ・・・・ 」

         息を吹き返した 良太をみて 高志は また泣いた



         「よし よし ・・・・ 銃声に 驚いただけじゃ」

         老人の目からも 涙がこぼれた

         いつの間にか 3人の周りを 山犬が囲んでいた




         裏山を吹く風が 人々に 平静を取り戻させようと

         懸命に 働きかけているように 思えた

         冬の装いをした 木々たちも 同じだ



         シゲじいは 子供たちを 抱きかかえるようにして つぶやいた

         「もう これで 終わりじゃ ・・・・ 終わりにせにゃかん ・・・・ 」

         3人を取り囲んで トムが 大きく 遠吠えをした ・・・・        (つづく)


            


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         山犬

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                  「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                             ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                        
           第34話 犠牲


           いつの間にか 良太の周りを 山犬たちが 取り囲んだ

           それは まるで 敵から仲間を守る 陣形だ

           すると そこから 一匹のびっこをひいた山犬が

           人の群れに向かって 歩き出した



           その山犬は いつか罠にかかって 足をケガしていたヤツだ

           人間たちは 近づいて来る敵に

           銃を 向けた



           「撃つなー!」

           良太は 叫んだ

           その時だ 大きな銃声と共に 

           目の前の山犬が 飛び上がった



           悲鳴ともとれる 泣き声を残して

           びっこの山犬は その場に 突っ伏した

           良太は あわてて その場に駆け寄った



           「どうしてだよっー!」

           まだ 温かい 山犬の体を 抱き寄せた

           見る見るうちに 良太の周りには 山犬たちの囲いが出来た



           良太の目から 涙が止まらなかった

           フラフラと 彼は 立ち上がると

           天を 仰いだ 何回も 何回も 涙がこぼれ落ちた



           今度は トムとサムが 動き出した

           彼らも 母を 殺されている

           今また 目の前で 仲間が 殺されたのだ



           「やめろー!」

           あわてて 良太が 彼らの前に

           立ちはだかった



           「お願いだ! やめてくれ! ・・・・ 」

           泣きながら 彼は 二匹に 抱きついた

           「ぼ ぼくが ・・・・ ぼくが 代わりに行くから ・・・・ もう死なないで」



           良太は トムとサムに いい聞かせると

           自らが 盾となって 歩き出した

           顔は 涙で ぐしゃぐしゃになり

           必死の 形相は 鬼のようだった



           「撃てよ! ぼくを撃てよ!」

           彼は 叫んでいた

           「ぼくの命も 山犬の命も いっしょなんだっー!」



           さすがに この行動には

           猟友会の大人たちも 身を引いた

           しかし ひとりの男が 天に向かって 銃を撃った



           「うぉーっ!」

           良太の体は 獣になった

           銃を撃ったのは 町会議員の黒沢だ



           走り出した良太の後を 山犬たちも 走った

           良太は 黒沢の体に 飛びかかった

           山犬も 飛びかかった



           そのあまりに 激しい 様子に

           猟友会の大人たちは 逃げ出した

           その姿は あまりにも 哀れだ



           「こ こらっ! はなせ! はなさんかっ!」

           黒沢は 銃を放り出すと

           その場に 倒れ込んだ



           次の瞬間 その銃を 取ったのは

           良太だ 彼は 黒沢に向けて 銃をかまえた

           「よ よ よせ! やめろ! 悪かった!」

           黒沢は しゃがみ込んだまま 後ずさりした       (つづく)




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          もんきーそふと

           山犬

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            「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                          ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                          
             第33話 許せない暴挙


             次の日の朝 創立記念日で 学校は休みだった

             父も 兄も 学校での記念式典に 参加していた

             良太は 何か 胸騒ぎがしていた



             シゲじいが 町から 帰ってきたのは

             心強かったが 良太には 頼る気持ちはなかった

             むしろ これ以上 被害者を 出したくなかった



             いても立っても いられなくて 表に出た

             すると どこからか 犬の泣き声がする

             高志も 出て来た




             「リョウちゃん 山犬かなぁ?」

             彼が不安げな顔で 聞いてきた

             「いや 違う」



             良太には 自信があった

             「あれは 猟犬だ」

             確信を持って 答えた




             その声が 近づくにつれ

             大きくなると共に 数が増してくるのが わかった

             「タカシ 家で待ってろ!」



             そう言って 良太は 裏山に向かって 歩き出した

             「リョウちゃん! ・・・・ 」

             不安そうに 高志が 叫んだ



             「絶対 来るなよ!」

             良太の声は こわかった

             高志は 家の中に かくれた



             それを見届けると 良太は 裏山を 駆け上った

             走りながら 心に いい聞かせた

             (大丈夫 負けない!)



             彼が 裏山のてっぺんに たどり着くと

             まだ だれも来てないようだ

             でも 何か おかしい



             すぐに そのわけが わかった

             よく見ると 中心辺りに 何か 物影がある

             良太は 恐る恐る 近づいて行った



             彼の足が 止まった

             いや 足が すくんだ

             それは 見てはいけないもの ・・・・


             
             良太には 体の震えを 止められなかった 

             そこで 見たものは きのうの 母犬の亡きがらだ

             なぜ そこにあるのだ 彼は 自問自答を くり返した



             しかし 答えは 見つからない

             その時だ どこからか 山犬の 遠吠えが聞こえてきた

             すぐ 近くだ



             「来るなーっ!」

             思わず 良太は 叫んだ

             「来ちゃーダメだ!」



             彼は あたりを 見渡した

             それまで 気づかなかった 人影が ちらちら見える

             反対からは 山犬の姿も 見えた



             明らかに これは 罠だ

             母犬を エサに 山犬たちを おびき寄せたのだ

             「くそーっ!」



             良太は うなった

             彼は 母犬の前に立つと 大きく両手をあげた

             「来るなーっ! 止まれーっ!」



             彼の叫び声が 山に こだました

             しかし 山犬たちの 足並みは

             見る見るうちに 早まると あっという間に

             良太の周りを 取り巻いた



             山犬たちは すでに 母犬の亡きがらに 気づいていた

             うなり声を あげながら 良太に詰め寄って来た

             トムと サムの 2匹だ



             「ごめんよ ごめんよ」

             良太は 謝りながら 涙が出て来た

             2匹は 母の体を なめている



             良太の周りには 10匹以上の山犬が 集まった

             そして そのかたまりを中心に 遠巻きにしながら

             銃を持った 猟友会の 人影があらわれた       (つづく)               




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             山犬

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                        「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                            ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                            
               第32話 暴走


               シゲじいに 肩を抱かれた良太の周りには

               その場にいた 大人たちが 集まっていた

               敬一郎も 彼の隣に腰を おろした



               「これ以上 山犬の犠牲は 出さないからな」

               父は 息子の頭を なでながら 答えた

               良太の心は それでも 落ち着いてはいなかった



               「おれたちも 悪かった 山犬ばっかり 責めたりして ・・・・」

               ひとりの男が もらした

               「そうだなぁ ・・・・ 悪いのは 人間のほうさ ・・・・ 」



               集まった人たちは 口々に 良太に声をかけた

               「良太君 悪かったな ・・・・ ごめんなァ ・・・・」

               謝って来たのは 山本だ



               「人は すぐに 自然の恩恵を 忘れてしまうでなぁ」

               シゲじいが 話し出した

               「自分たちだけで 生きてるつもりでいるんじゃ ・・・・ 」



               「土も 水も 風も なくては人は 生きられんのじゃ」

               シゲじいは 良太のそばから 立ち上がった

               かわりに 父が 良太の肩を 抱いた



               「みなのしゅう この母犬が 命を懸けて 教えてくれた ・・・・ 」

               老人の目は はるか先の 空をながめた

               「弱肉強食 輪廻転生 生老病死 ・・・・ 」



               シゲじいの言葉は つぶやきに変わった

               しかし その場にいた 皆の心に 染みわたって行った

               しばらく 沈黙が つづいた



               「やあ やあ みなさん お集まりかな」

               そこに 現れたのは 町会議員の黒沢だ

               ふたりの 町役場の職員を 従えていた



               「しかし 山本さん お手柄でしたなぁ」

               黒沢は 山本の手を取り 笑った

               「この山犬の死骸は 保健所で 処理させますでな」



               黒沢は ふたりの職員に 指示した

               そそくさと ふたりの職員が ブルーシートで

               その遺骸を包み込み あっという間に 車のトランクに押し込んだ



               みなは あっ気にとられていた

               良太も 落ち着きを 取り戻したのか

               立ち上がってみたものの 何もできずにいた



               「それじゃぁ みなさん お疲れさま ・・・・ あとは 予定どうり」

               それだけ言い残すと 黒沢たちは 車に乗り込んだ

               黒煙を吹きだすと 狂った機械のように 車は暴走した



               人々は その場に 立ち尽くした

               辺りの 静けさは 何かしら 不安をかきたてた

               (予定どうり ・・・・ ) 良太の頭を 黒沢の言葉が こだました       (つづく)

                
               

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               山犬

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                         「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                              ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                              
                 第31話 危機


                 良太は 耳を疑った 

                 しかし もう一度 聞き直す 勇気が出ない

                 良江が 代った



                 「や 山犬が 死んだって ・・・・ ど どういうこと?」

                 彼女も 少し 取り乱していた

                 「ああ ・・・・ 毒入りの肉を 食べて ・・・・ 死んだのさ ・・・・ 」



                 「ど 毒入り ・・・・ ?」

                 今度は つぶやくような 良太の声だ

                 「ああ そうさ ・・・・ 山本さんのニワトリを ・・・・ 襲おうとしたんだ」



                 真一も 話したくなさそうだ

                 「養鶏場の裏に 毒の入った肉を置いて ワナを仕掛けたんだ ・・・・ 」

                 良太は うなだれたままだ



                 「そのことで 父さんは 山本さんに 行ってる」

                 真一は 玄関を上がると 中へは入ってしまった

                 残された 母と息子は 気まずい思いでいる



                 「夕飯に しましょ!」

                 母は 極力 明るく ふるまった

                 「 ・・・・・・・・ 」



                 良太の中では 行くべきか 行かざるべきか 葛藤していた

                 しかし 足は 心より先に 動いていた

                 「ちょっと 行ってくるっ!」



                 彼は 飛び出して行った

                 黙って見送る 良江には

                 そんな 息子が たくましくも見えた ・・・・






                 山本養鶏場には 数人の大人たちが集まっていた

                 良太の父 敬一郎は 必死に何か 説明している

                 中には 語気を 荒げる者もいた



                 「山根さん そうは言っても このままじゃぁ 安心できんわ」

                 ひとりの男は いらだっているようだ

                 「寄り合いで 決めたとうり ・・・・ やるしかないやろ」

                 もうひとりも 投げやりだ



                 「いやいや しかし 相手も生きることに 必死なんさ」

                 敬一郎は 必死に食い下がった

                 「山根さん あんた 息子を かばっとんのと違うか?」



                 「そうじゃない! 山犬だって 生きてるということや」

                 敬一郎は 事を荒立たせないよう 気を使った

                 「山本さん あんた どうや 一番 被害に遭ってるんや?」

                 ひとりの男が 山本に ふった



                 山本も 答えにくそうだった

                 そこへ 息せき切って 良太が 飛び込んで来た

                 「や や 山犬は ・・・・ ど どこ?」

                 肩で息をしながら 辺りを見渡した



                 「そっちじゃ!」

                 ぶっきらぼうな声が 帰ってきた

                 その声の先に 横たわる山犬が 見える



                 良太は 飛びつくように その場に駆け寄った

                 彼の顔が 見る見るうちに 険しくなった

                 その山犬の 耳には ケガの跡が あった



                 「うっ ・・・・ どうして ・・・・ どうして ・・・・ 」

                 良太は 声にならない おえつをもらした

                 「うっうう ・・・ うっうう ・・・ 」



                 その冷たくなった体を 抱きしめながら

                 何度も 何度も 頭を なでた

                 辺りにいた男たちも 事の重大さを 感じた



                 ひとりの男が 良太に近寄り 彼の肩を抱いた

                 「そうじゃなぁ つらいのーう」

                 その声は 懐かしい 優しい声だった



                 見ると 老人である

                 「し シゲじいーっ!」

                 良太は 辺りかまわず 抱きつくと 泣き崩れた



                 「よし よし 悲しいのぅ ・・・・ 」

                 シゲじいも 彼を 強く抱きしめた

                 しばらく 時が 止まったような 錯覚におちいった



                 良太も 少し 気持ちが落ち着いてきた

                 「シゲじい ・・・ ど どうして ・・・ どうして 母犬が 死んじゃうの?」

                 彼には 信じられなかった



                 「そうじゃなぁ ・・・ 子供たちに 教えたんじゃろ ・・・ この肉を 食べちゃダメだと」

                 シゲじいは 良太の目を見ながら 語った

                 「母犬は だれよりも 子犬のことを思っておる ・・・・ 」




                 シゲじいの話は 良太だけでなく 

                 その場にいた すべての者たちの 心にささった

                 このような仕打ちは 二度としたくないと みなが思った ・・・・・ 


                                          (つづく)

                 

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                 山犬

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                          「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                                ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                                
                   第30話 冬の訪れ


                   寒さは 人に 恐れを 教える 

                   生きることの 厳しさを 教える

                   そして この季節は 淋しさも 教える ・・・・



                   この時期は 学校までの通学も 寒さとの戦いだ

                   良太と高志は 誰から 教わったのか

                   この寒さも 楽しみに 変えていた



                   「リョウちゃん どれにする?」

                   フライパンを持って 高志が出て来た

                   「う〜ん どうしようかなぁ〜 その大きいヤツにするか!」



                   良太は 手袋をした手で

                   ズボンのポケットから ハンカチを取り出すと

                   フライパンの中の それを つまみ上げた



                   「うー あちちっ!」

                   良太は 両手の中で それを転がしながら

                   手早くハンカチに 包んだ



                   それは 何かというと 「石ころ」である

                   もちろん 食べる訳ではない

                   学校へ行くまでの間 温めてくれるのだ



                   高志も ひとつ取ると ハンカチに包んだ

                   「うーん あったかい!」

                   彼は それを ズボンのポケットに 入れた



                   ふたりは これで しばらく寒さを しのぐのだ

                   「最近 トラックも 少なくなったね」

                   歩きながら 高志が聞いた



                   「ああ 寒くなって来たからな ・・・・ 」

                   そう言ったものの 関係ないと 良太も想った

                   「今年は どのぐらい 雪が降るかな?」



                   楽しそうに 高志が聞いた

                   「たくさん 降るだろ ・・・・ 」

                   良太には 高志ほど 楽しい気持ちにはなれなかった



                   「たくさん降ったら カマクラ作ろうね?」

                   「ああ ・・・・ 」

                   「いいなぁ 楽しみ〜」



                   そのうち 高志は 鼻歌を歌いだした

                   その様子を見ながら このまま 何事も起こらない事を

                   良太は ひとり 心で祈った ・・・・








                   この日 午後からは 雨となった

                   家に帰った子供たちも おとなしくするしかない

                   良太のもとに 母が来た



                   「ねえ お父さんは 何も言わないけど ・・・・ 」

                   そう言いながら 彼のそばに 腰を下ろした

                   「町の寄合では 良ちゃんのことが 噂になってるようよ」



                   母は 良太の様子を うかがう様に 話した

                   「どんな?」

                   彼は わざと 知らないふりをした



                   「どんなって あなたが 山犬と話せるって ・・・・ 」

                   「ふーん ・・・・ 」

                   「あなたに 山犬に出てこないようにって 話して欲しいそうよ」



                   良江は 良太のことを 信じていた

                   それを 彼も よく わかっていた

                   しばらくの間 ふたりは 黙ったままだった



                   そうこうしているうちに 玄関から 真一の声がした

                   良江は すぐに 迎えに出た

                   「あら? 父さんは 一緒じゃないの?」



                   「ああ 父さんは 山本さんのところへ行った」

                   真一は 良太の居所を 気にした

                   「まずい事に なったぜ ・・・・ 」



                   真一は 吐き捨てるように言うと 首を振った

                   良太も 玄関に 出て来た

                   「おかえり」



                   「ああ ・・・・ 山犬が  ・・・・ 」

                   「えっ!」

                   良太には よく 聞こえなかった        (つづく) 


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                   山犬

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                           「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                                  ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                                  
                     第29話 禍の序曲


                     良太は あわてて 裏山を駆けあがった 

                     高志も追いかけたが とても 追いつけない

                     裏山の頂上には 数人の人だかりが 出来ていた



                     良太は その間を 分けて入った

                     そこには 足を ワナに挟まれ

                     血を流している 山犬がいた



                     彼は 呼吸を整えながらも

                     その山犬の顔を 確かめた

                     トムでも サムでも 母犬でもなかった



                     「見せしめに やっちまうか!」

                     ひとりの男が 言った

                     「よせ! 集団で襲って来るぞ!」



                     その一声で みんな 黙ってしまった

                     「逃がしてやろう ・・・ 」

                     別のひとりが 言った



                     良太は 黙っていた

                     ひとりの男が 足のワナを 外そうとした

                     山犬は おとなしかった



                     ワナから解放された 山犬は

                     びっこをひきながら 山の奥へと 歩いた

                     良太と 男たちは その様子を じっと みつめていた



                     高志は やっと 追いついた

                     遠くに行く 山犬を見て

                     その場に 座り込んでしまった



                     「ぼうず ・・・ 」

                     ひとりの男が 良太に言った

                     「山犬と しゃべれるんか?」



                     良太は 一瞬 言葉に詰まった

                     「あ ・・・ う うん」

                     それでも 返事にならないような 声を出した



                     その男は つづけた

                     「犬どもに もう 出て来るなと 言ってやれ!」

                     少し 強い口調だ



                     良太は 声が出なかった

                     (生きてて よかった ・・・) 何度も つぶやいた

                     それでも 心の中は スッキリと しなかった



                     男たちは 口々に 言葉を発しながら

                     ちりじりに 分かれて行った

                     その場に残ったのは 良太と高志のふたりになった



                     良太は 悲しくなった

                     悲しくなったけど 高志の手前

                     弱々しい真似は できない



                     「生きてたぜ ・・・ 」

                     少し ムッとした 顔を見せた

                     「あっ ごめん ・・・ 」




                     「タカシ 行こうか?」

                     さりげなく 彼は 言った

                     「うん ・・・・ 」



                     ふたりが 歩き出そうとしたとき

                     どこからか 山犬の遠吠えが 聞こえた

                     ふたりの動きは 止まった



                     良太は 360度 あたりを見回した

                     そして 抑えきれず 叫んだ

                     「トムーっ サムーっ!」



                     その声は 辺りに 響き渡り

                     やがて 静寂へと 移り変わった

                     良太は期待したが いくら待っても その姿を見ることはできなかった    (つづく)



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                            「自然を 駆け抜ける 少年と 山犬たち

                                    ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                                    
                       第28話 別れの日


                       そこにいるのは 間違いなく 和美である
                       
                       良太の頭の中は 初めて会った その日から

                       今日までの出来事が 走馬灯のように 駆け巡っていた



                       「これ 良太君に」

                       和美は 紙袋を 差し出した

                       良太は 黙って それを 受け取った



                       中を のぞいて見ると 真新しい グローブが入っている

                       「こ これは ・・・・ 」

                       良太は とまどった



                       「これは プレゼント ・・・・ 私のこと 忘れないで ・・・・ 」

                       彼女は うつむきながら 答えた

                       「も もらえない ・・・・ 」



                       「だめ ・・・・ もらって ・・・・ 」

                       彼女の想いは 強かった

                       良太は 黙って 紙袋を 握りしめた



                       しばらく 沈黙が つづいた

                       「お お父さん ・・・・ 大変だね ・・・・ 」

                       良太は 言葉にした



                       「お父さん ・・・・ お父さんは 関係ない!」

                       彼女の顔色が 変わった

                       そして みるみるうちに その目からは 涙が流れた



                       彼には どうしていいのか 解らない

                       その場にいること自体 つらく 悲しくなった

                       「ぼ ぼくは ・・・・ 忘れない ・・・・ 」



                       彼女は 涙をふきながら うなずいた

                       彼は 黙って 手を差し出した

                       彼女は その手を 握ると いつまでも 離さなかった ・・・・・



                       


                       数日後 噂が 流れた

                       和美の一家が 夜逃げしたというのだ

                       行き先も告げずに 逃げて行ったと ささやかれた



                       さらに 住んでいた家には 

                       サラ金の 取り立て屋が 来ていたとのことだ

                       良太は 耳をふさいだ と共に 自分の無力さを 感じた



                       いずれにしても 真相は 解らない

                       良太は 無口だった

                       彼の家族も この事に関しては 無口になった



                       「リョウちゃーん!大変だーっ!」

                       高志が 良太の家に 駆け込んできた

                       「ど どうしたんだっ?」



                       良太も 玄関に 飛び出した

                       「はぁ はぁ はぁ ・・・ や 山犬が ・・・ つ 捕まった ・・・ 」

                       彼の声は とぎれとぎれだった



                       「や 山犬が どうしたって!」

                       良太の声は 語気を増していた

                       「山犬が 捕まったんだ ・・・ 罠にかかって ・・・ 殺されたんだ」



                       一瞬 言葉を 疑った

                       「こ 殺された?」

                       良太の全身には 寒気が 走った       (つづく)

                       



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                                      ふたりを 引き裂く 人間の手 ・・・・」




                                      
                         第27話 罠


                         山の空気も 肌寒さを 増し

                         冬の訪れを 感じさせた

                         それは 良太たちの生活にも 厳しさを教えた



                         いつものように 良太と高志は 通学路を急いだ

                         「リョウちゃん 和美ちゃん いつ引っ越すの?」

                         無神経な高志の質問だった



                         「さあ ・・・・ 」

                         そっけない返事をした

                         「リョウちゃん 和美ちゃんのお父さんのこと 聞いた?」



                         「いや ・・・・ 」

                         「和美ちゃんのお父さんの会社 倒産したんだって」

                         初めて聞く 話だった



                         「それで 転校するんだよねぇ ・・・・ 」

                         高志も少しは 悲しそうだ

                         「どこに 引っ越すんだろう?」



                         「さあ ・・・・ 」

                         実際 良太は 何も知らない

                         会社の倒産が どれほど家族にも影響するかも 解らなかった



                         昼の休憩に 隣の教室を のぞいて見た

                         やはり 和美の姿は 見当たらなかった

                         良太は しばらく かたまった



                         「よう! 山根」

                         後ろから 声がした

                         いつかの 3人組みの ひとりだ



                         良太は 黙っていた

                         「おまえ 知ってるか?」

                         「 ・・・・・・・・・ 」



                         「もうすぐ 山犬狩りが 始まるんだぜ」

                         「えっ ・・・・ な なんだって」

                         「人を 襲うような山犬は 危険だからね!」



                         ヤツは ニヤニヤしている

                         「リュウジの父さん 町会議員なのは 知ってるだろ?」

                         リュウジとは 3人組の リーダー格だ



                         「へっ へっ へっ また呼んでくれよ みんなの前で」

                         ヤツは 誇らしげだ

                         良太の胸の中は 激しい突風が 吹き荒れた



                         それでも ヤツのことは 無視していた

                         「まっ こんど会う時が 楽しみだなっ」

                         それだけ 言い残すと ヤツはその場を立ち去った



                         良太は 大きく 深呼吸をすると

                         急に あわてて 教室に戻った

                         何ということはないが ただ じっとして入られなかった



                         その日の授業は 全くといっていいほど 頭に入らなかった

                         ただ ただ 帰り道を 急いだ

                         誰かに確認するまでは 気が収まらなかった



                         家に着くと まず 人を探した

                         誰も いない

                         となりへ 駆け込んだ



                         「やあ リョウちゃん!」

                         何も知らない高志は ニコニコしている

                         「おじさんは? おばさんはいる?」



                         「どうしたのさぁ こわい顔してるよ?」

                         高志は 少し驚いたようだ

                         「寄りあいみたいだよ」



                         高志は 何も 疑問は持っていない

                         ただ いつもと違う 良太の様子に

                         何か あったことだけは 気づいた



                         とりあえず 大人が戻るまでは 何もできない

                         良太は 黙って 高志の家を出た

                         その瞬間 彼の動きが止まった



                         そこには 和美が立っていたのだ ・・・・・   (つづく)


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