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    • 2016.04.04 Monday
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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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      『 幻 愛 』(げんあい) 〜 詩小説 6 〜

       

       連載でお送りします。画家を目指す、小森直也(主人公)を

      取り巻く人間模様を中心に、真実の愛の姿を表現してみたいと思

      います。

       それは、現実なのか、幻か、あなたの心に問いかけます。


       

      1

       


       コンクリートの天井に座って、いや正確には、屋上に座ってい

      る。ぼくは折りたたみ椅子に腰掛けて、イーゼルに向かってい

      る。さっきから、筆がなかなか進まない。もう今日はこの辺にし

      ておこうかと思ったとき、後ろから呼び声がした。


       「なおにいーっ!」


      このマンションのオーナーの息子、猛である。ぼくは黙ってい

      た。慌ただしい足音は、ぼくのすぐ前で止まった。


       「やあ、なお兄(にい)。また書いてるんだ。」


      彼は、キャンバスを覗き込んだ。しばらく沈黙がつづいている。


       「ねえ、どうしていつも山の絵なの?ここから山なんてみえな     

        いよね?」


      ぼくは前にも説明したろって、思ったが優しく答えた。


       「山が好きだからさ。目を閉じれば、ぼくには見えるんだ。」


       「ふ〜ん。」


      彼はつまらなそうに答えた。


       「そうだ、父さんが今夜は外食にするって、なお兄も呼べっ

        て。」


       「そう、わかった。準備するよ。」


      ぼくは機嫌よさそうに彼に笑顔を見せた。


       「じゃぁ、下で待ってるよ。」


      今度は慌ただしい足音が遠のいていく。


      ぼくは、もう一度キャンバスに目をやった。これが自分の書きた

      い絵だろうか。
      答えは直ぐに帰ってくる。もちろん「ノー」だ。

      ため息が出た。そそくさと片付けにかかった。もう日も落ちかけ

      ている。夏にしては涼しかった。

       


       マンションの下では、猛が手招きをしてる。ぼくは、解ったと

      いう表情をして小走りに表に出た。群青色のベンツが止まってい

      る。彼は既に乗り込んでいた。


       「お邪魔しま〜す。」


      ドアを開けると、ぼくは後部座席に乗った。


       「直也くん、悪いなぁ。急に誘って。」


      オーナーの声は低音で渋い。


       「とんでもないです。いつもすいません。」


      ぼくは少しかしこまった。月に一度ぐらいは、外食に誘ってもら

      っていた。オーナーが言うには、猛と仲良くしてもらってるから

      だという。オーナーの奥さんは、ぼくがここにお世話になる前に

      亡くなっている。猛は一人っ子で、中一にしては甘えん坊だ。


       「どうだい、絵の方は売れてるかい?」


      渋い声だ。


       「ええ、まあボチボチと・・・。」


      いい答えが思いつかなかった。芸大を出て、東京に出てきたもの

      の、しがない売り絵作家である。売り絵作家というのは、スパー

      やデパートで売ってるような油絵を描く作家のことだ。いかにも

      十人ごのみする、良くもなく、悪くもない絵を書くのだ。もちろ

      ん賃金も安い。それゆえ、いかに絵の具を少なく使いそれらしい

      油絵にするのかがテクニックなのだ。


       そうこうしているうちに、いかにも高級そうなレストランの前

      に着いた。                  
                             (つづく)

       

                                                         

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        • 2016.04.04 Monday
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        • 13:10
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        コメント
        無難な絵、、
        ってことでしょうかね〜

        山が好きだからさ。目を閉じれば、ぼくには見えるんだ

        そんな思い
        分かるような気がいたします
        好きなものは、いつも自分のそばにある
        のでしょうね


        ありがとうございます
        • ponsun
        • 2013/02/17 7:34 AM
        いよいよ小説が始まりましたね。
        暫くの間待っていました。
        物書きの端くれの私が言うのもなんですが、形態は何でも書くことは良いことです。
        期待して読ませていただきますね。
        • 太郎ママ
        • 2013/02/17 8:34 AM
        タミリンさん コメントありがとうございます♪

        「売り絵」というのは無難な絵ですね〜
        PONSUNさん コメントありがとうございます♪

        そうですね!好きなものは心に焼きついていますね☆
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        お待ち頂きまして、嬉しい限りです(*゚▽゚*)
        自分でもラストは、解りませんので楽しみです☆
        こんばんは。寒い一日になりました。とはいえ、自然の綱引きは
        春に。。。♪ しばらくこの冬を楽しまないとね。ウィルスには
        絶好の餌になった模様でしたが、只今
        になった私が書くのもなんですが。お気をつけください。

        で、反芻し、心の片隅にm(__)m 残しMinoさんの訴えかった事、
        意図されたことは何だろう?自分も同調する場面、いや私は
        ちと違うかな?m(__)m なーんて、傍観者でごめんなさいですが
        楽しませて頂きます。ぼちぼちと!
        • 小番頭
        • 2013/02/17 5:59 PM
        こんばんわ

        道具を最小限に抑え
        かついい作品を作る。

        どの道も同じですね^^
        小番頭さん コメントありがとうございます♪

        ほんとに寒い日がまだまだ続くようですので、お互いに
        体調管理には気をつけましょう!ウィルスの餌食にならぬよう。。。
        今回の詩小説は、どちらかというと小説に近い、ほぼ小説ですので、
        気楽にお付き合いください☆
        マクシフさん コメントありがとうございます♪

        自分の先輩が、売り絵作家でしたので、そのへんの話は、
        ほぼ現実に近いものだと思います☆
        最近ずっとないなぁって思っていたところです。
        始まりましたね。
        ちょっとワクワクして顔がほころんでしまいましたよ。
        いつも、皆さんに後れを取りながら拝見させていただいていますが、マイペースで読ませていただきますので、よろしくお願いします。
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        マイペース、大いに結構です!自分もどこまで、
        描けるのか挑戦ですので頑張ります☆
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