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    • 2016.04.04 Monday
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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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       ぼくにとって、レストランでの食事は至福の時であった。当

      然、自分ひとりで行くことはないし、行けるはずもない。華やか

      なひと時である。


       この華やかな世界から、ぼくの部屋に戻るとあまりのギャップ

      を感じる。ただ、それは虚しさではなく、むしろ誇らしげにも思

      えた。ここが、自分の住む世界だ。居心地のいい最良の場所だ。

      さっき書きかけていた、キャンバスを机の上に立てかけた。しば

      らく見入っていると、想いは遠いふる里、田舎の景色が生々と蘇

      る。目を閉じた。


       

       いつの間にか寝入ったみたいだ。雀の戯れで目が覚めた。もう

      朝の
      8時を過ぎている。おもむろに起き上がると、手早く、歯磨

      き・洗顔を済ませた。冷蔵庫からコップ一杯の野菜ジュースを取

      り出すと、お腹に注ぎ込んだ。自慢じゃないが、自家製ジュース

      である。作業机の横に立てかけてある何枚かのキャンバスを取り

      出しては眺め、また取り出して
      5枚を選んだ。


       

       着替えを済ませたぼくは、まず契約を取り付けている画廊に向

      かった。ここは、見た目に古臭く、古美術商といった感じだ。そ

      れなのに定員の“みっちゃん”は若くて可愛い。


       「おはようございます。」


      ぼくは、いつもの癖で恐る恐る引き戸をあけた。


       「はーい!おはようーっ!」


      思いのほか元気なみっちゃんの声だ。


       「いらっしゃい!」


       「やあ。」


      あまりにそっけない。


       「どう?いい絵が書けた?」


      彼女の顔が近づいてきた。

      あわてて、ぼくは紙袋の中から
      3枚の絵を出した。


       「わあっー!すてきーっ!」


      みっちゃんは、その一枚を取ると高らかと掲げた。


       「なおさんの絵、人気なのよ〜」


       「あっ、ありがとう。」


       「だってほら、先月もらった絵、もう一枚もないもの」


      彼女は、店内を見渡しながら、自慢げだった。


       「お父さん、元気?」


       「うん・・・。まだ寝てるけど、起こそうか?」


       「いや、いいんだ。元気なら・・・。」


      店長は、東京でぼくに絵を教えてくれた先生だ。昨年、軽い脳梗

      塞で倒れている。それ以来、絵筆は握ってないようだ。


       「じゃあ、行くよ。」


      ぼくが行こうとすると、彼女が言った。


       「なおさん、初恋の人いる?」


       「は、初恋?」


      思いもよらない質問に、ぼくの頭は混乱した。そして、その混乱

      に乗じて初恋の人の顔が、意外にも蘇ってきた。田舎の山道を歩

      く小学生。赤いランドセルの女の子。確かにそうだ。

       

                             (つづく) 

       
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        • 2016.04.04 Monday
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        コメント

        初恋

        この言葉、久しぶりに聞いたような気がいたします

        なんだか、新鮮な感じがいたします



        ありがとうございます
        • ponsun
        • 2013/02/19 4:33 AM
        喫茶店を経営しているとき、プロの絵描きさんがお客様で来ていました。
        一人は油絵、一人は日本画の先生でした。
        売り絵と自分本来の絵を区別して描いていました。
        売れる絵を描くときはどのような心構えで描くのかは聞きそびれましたが、二人の絵は、ウチのサロンに掛けてあります。
        懐かしく思い出しました。
        さて物語は、これからどのように展開していくか、楽しみです。
        • 太郎ママ
        • 2013/02/19 7:50 AM
        こんばんわ

        初恋は・・
        赤いランドセルですね

        小学生のとき・・・。
        ですよね^^?笑 それ以外だと怖いですね笑
        ちょっぴり芸術の世界を見ることができて、
        興味深いものがあります。
        そして、みっちゃんの存在。
        私の中でも、いろんな方向への想像が広がっています。

        ※今日は、コメントをまとめて投稿してしまってごめんなさい。ついつい、一気に見てしまいました。
        PONSUNさん コメントありがとうございます♪

        ”初恋”これは、ひとつのキーワードですね!
        しかし、それだけのとらわれると真実は見えないかも。。。
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        そうなんですよね!売り絵と自分の絵は違いますね〜
        喫茶店をされていたのですよね!今後をお楽しみに〜
        マクシフさん コメントありがとうございます♪

        この当時は「赤」ですけど、今なら「?」ですね(笑)
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        ついに追いつかれてしまいましたァ〜(笑)
        どんどん広げてくださいね☆
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