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    • 2016.04.04 Monday
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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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         マンションに帰ると、いつものように屋上に上がった。案

      の定、今日は風が
      強くて作品は書けそうにない。ぼくは、遠

      くに見えるビルの並木を見るとも
      なしに眺めていた。

       

        (ああ、画家を目指して早3年、売り絵で何とか食いつない

      ではいるものの果たしてこのままでいいのだろうか?)


      また、いつもの問が頭をよぎる。田舎の父母には、家出同然

      のように出てき
      た手前、泣き言なんか、とても言えない。

       
      (まあ、何とかなるさ。)


      いつもの結論だ。そうこうしてるうちに体が冷えてきた。ぼ

      くは、そそくさ
      と部屋に戻った。ドアノブに手をかけた時

      だ。

       
      「なおやくん!」


      呼ぶ声がした。振り返るとマンションのオーナーだ。

       
      「ちょっと、話があるんだけど、時間いいかなぁ。」


      別段、これという用事もなかった。

       
      「ええ。」


      しかし、一体何だろう。オーナーの部屋に呼ばれることなど

      まずなかった。
      ぼくとオーナーの部屋は、同じ階の端と端。

      直ぐについた。


      「まあ、上がって。」


      そう言って、招き入れられた。猛はまだ学校から帰ってない

      ようだ。

       
      「さあ、そこに座って。」


      立派なソファだった。革の匂いがする。

       
      「いつも、タケシの相手をしてくれてありがとう。助かって

      るよ。何しろ母親が早くに亡くなったものだから、甘えん坊

      で。」

       
      「仕方ないですよ。ぼくだって、同じ立場なら、きっとそう

       ですから。」


      オーナーは、悪いけどと言いながら、タバコを吹かし出し

      た。しばらく沈黙
      が続いた。オーナーは何か言いづらそうだ

      った。

       
      「実はおりいって話というのは、君にうちの会社に来ないか

       ということなんだ。」


      遠慮がちに、ぼくを見ている。すぐには答えは出てこない。

       
      「私ももちろん、君が画家を目指しているのは知っている。

       しかし、それで飯を食っていけるのは、ほんのひと握りの

       人間だ。君も大学を卒業してかれこれ
      3年も過ぎている。

       そろそろ腰を落ち着けてはどうかと思うんだ。」


      ここまで言って、大きくけむを吹き出した。ぼくは、黙って

      いた。

       
      「まあ、すぐに答えといっても無理だろう。考えておいてく

       れないか。」

       
      「は、はい。」


      ぼくは、何故か無愛想な返事をしてしまった。こんなにいい

      話なんてめった
      にない。オーナーは、大手企業の役員だ。し

      かし、諦めきれない。今まで何
      度も自分自身にも問いかけて

      きた。両親にも反対された画家の道だ。

       

       
       そうこうしているうちに猛が帰ってきた。

       
      「ただいま!」


      元気のいい声だ。

       
      「あれっ?なおにい、何でいるの?」

       
      「お父さんが呼んだんだ。」

       
      「やったぁ!ラッキー遊んでもーらおっと。」


      猛は、カバンを放り出して直也の隣に座った。

       
      「おい、宿題はいいのか?」


      父は厳しい顔をした。

       
      「平気さぁ。」


      彼は聞く耳を持たない。

       
      「今日は、部活はないの?」


      ぼくが聞いた。

       
      「今日は顧問の先生が出張でいないんだ。これもラッキ

      ー!」


      調子に乗っている。

       
      「なおやくん、悪いが少し相手をしてやってくれないか。私

       はもう一度会社に戻らないといけないんだ。」

       
      「ええ、いいですよ。」


      ぼくは、快く返事をした。そしてそれが何か、自分の夢を

      捨ててしまうこと
      になるのではという、変な予感につながっ

      た。

       

                             (つづく)

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        • 2016.04.04 Monday
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        • 06:16
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        コメント
        縁・・・っていうものは、時として望んでいる方向からばかりは来ないものらしいですが、
        コレが良い縁、チャンスに結びつくといいですねぇ。
        そのような気持ちで読ませていただきました。
        • 太郎ママ
        • 2013/03/03 8:20 AM
        こんばんわ

        猛くんラッキーが重なっています。
        さて、一体どうなるのでしょう 笑
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        そうですよね〜 でも、男って「ロマン」が捨てきれないんですよね☆
        マクシフさん コメントありがとうございます♪

        ラッキーもいつまでも続きませんよね〜(笑)
        私、欲張りなのかしら。
        両方できないものかしら?
        なんてノ〜天気な、ちゃっかりしたこと考えちゃいました(笑)
        夢は捨てて欲しくないし、でも生活もあるし・・・。

        夢を持ちながら苦労をする人の姿って好きです。
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        本来は、そうあるべきですよね〜
        芸術家というのは、世渡りが下手な人が多いように思います☆
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