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    • 2016.04.04 Monday
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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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       彼女は、それ以上「三輪車事件」については突っ込んでこなかった。

      ふたりは車道へと出た。この道も舗装されて綺麗になった。


       「きれいになったね。」


      ぼくは、思わず口にしてしまった。


       「えっ?」


      彼女は、ドギマギしている。よく見ると頬が赤くなってる。


       「あっ、やぁ・・・」


      綺麗になったのは道路だけど、間違いなく彼女は綺麗だ。


      (どうした!責任重大だぞ!)単なる言い間違いでは済まされない。


      僕の頭の中に“渦潮が来た”


       しばらく沈黙が続いてしまった。先に冷静になったのは彼女の方だ。


       「冗談よね!このあたりの道路は綺麗よ。愛知万博のおかげで、
       
       開発が進んだのよ・・・いいかどうかはあるけど。」


      彼女の答えに従うしかなかった。


       「そ、そうなんだ。」


      どうもうまく会話がつながらない。



       ふたりの歩調だけがどんどんと前へ進んでいく。追いつかないのは、

      ぼくの心情だ。彼女は、あたりを見渡しながら言った。


       「覚えてる?あそこ。」


      彼女は指をさしながら、ぼくの顔を見ている。ぼくは、慌てて指先の射

      す方に目をやった。切り立った小高い山の上を指してるようだ。赤い小

      さな鳥居のようなものが見えた。必死になって、頭の中のページをめく

      った。


       「あっ!思い出した。“歯黒べったり”だ!」


      ぼくは思わず叫んだ。


       「クククッ。」


      また笑われてしまった。

       
       あの細い山道を登った先に社があって、その前で長い黒髪の女性が

      祈りを捧げているというのだ。声をかけると、振り向いたその顔は「の

      っぺらぼう」で口だけがあり、開くとお歯黒だというのだ。もちろん、言

      い伝えに過ぎない。実際見たことあるなんて、聞いたこともない。聞い

      たこともないのに、そこのそばを通るだけで怖いのだ。


       「小学1年の時だっけ、家に遊びに来たことあったよね。」


      彼女が、おもむろに話しかけてきた。


       「うん、覚えてるよ。」


      また、ヤバイ気がしてきた。


       「帰る時間も忘れて遊んで、帰りは真っ暗になっちゃった。」


       「ああ・・・・。」


      嫌なページをめくりだした。


       「あわてて帰ったよね、なおくん。」


      こっちの顔を覗き込んでる。来るぞ、来るぞ。


      ぼくは、黙った。


       「なおくん、ここまで来て、あんまりにも怖くなってスリッパを脱ぎすて

      て走ったんだよ
      ね。」


       「う、うん。まあ・・・。」


       「泣いたの?」


      ほら来た。


       「な、泣くもんか!」


       「ふーん、あたし聞いたんだけどなぁ〜 お母さんから。」


      ちぇっ、おしやべりめ。 


       「クククッ。」


      また笑われてしまった。

                                       (つづく)      


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        • 2016.04.04 Monday
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        • 19:50
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        コメント
        いいわぁ、このような場面に遭ったことないわ。
        いよいよ主人公は追い詰められてきたような。
        とかく男性は弱腰で、女性は落ち着いているものなのよね。
        • 太郎ママ
        • 2013/03/27 8:06 AM
        こんにちは。

        読みながら、何度クスクス笑ったことでしょう。
        手に取るように情景が浮かびます。
        やはり、女の子はオマセさんなんですよね。
        大人になっても、そのテンポに必死で着いて行く男子の姿や心情が、とても細かく表現されています。

        楽しいわ〜。

        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        気に入っていただけて嬉しく思います〜
        弱腰主人公の活躍にご期待下さい☆
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        楽しんでいただけて嬉しく思います〜
        彼女の気持ちはどこにあるのか今後の展開にご期待下さい☆
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