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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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      12



       時は、ボクの気持ちなどお構いなしに過ぎていく。何も解決されぬま

      ま、日曜日の朝が、来てしまった。どうも落ち着いて物事が考えられな

      い。


       「なに、そわそわしてんの?」


      母に見抜かれている。


       「い、いや。今日ちょっと、出かけてくる。」


       「出かけるって?」


      しつこいなーと思いつつも、顔には出せない。


       「せっかく、油絵の道具を持ってきたんで、少し書いてみようかなぁ、

       なんてね。」


      ワザとおどけてみせた。


       「そうかいな、いってらっせい。」


      母は、ニコニコしながら行ってしまった。親ほど怖いものはない。どこま

      で見抜かれているのやら。(えいっ!ほっとけ。)心は強気でも顔には

      出てこない。



       彼女との約束の場所は、彼女の家の裏山だ。確かに幼稚園の頃、そ

      こで何度か彼女と遊んでる。(ままごと?)そうだ。ままごともしてる。彼

      女がお母さんで、ボクが父親だ。当たり前のパターンだ。(ほかに何か

      あったか?)思い出せない。空っぽだ。


       彼女の家の前は通らず、違う道から裏山へと登った。登るというのも

      大げさだ。あの頃は、高い山にでも登った気になっていたが、大人とな

      った今では、だだの小高い丘である。何もない。草一つ生えていない、

      殺風景な景色だ。(ここって、こんなだったかなぁ)呆然としてしまった。

      そういえば、彼女が道路のことを「愛知万博」のせいで、綺麗になった

      って言ってたけど、ここもそのせいか。


       ぐるりと辺りを見渡しても、絵にしたいような構図が見つからない。と

      りあえず、イーゼルをたてて、キャンバスを乗せた。真っ白なキャンバ

      ス、なんて綺麗なんだろう。そこに訳のわからない色を塗りたくるなん

      て、画家はなんて自分勝手なんだ。つまらない独り言が、頭を駆け巡

      る。



       彼は、筆を取った。それは、都会のあの屋上での光景とフラシュバッ

      クする。目を閉じて、頭の中に思い浮かべる。あの緑の木々が、洋々

      と海原のようにつながっていく姿を。燦々と陽の光が降り注ぎ、まぶし

      すぎる。そう、これこそが大自然の醍醐味だ。ボクは天を仰いだ。仰い

      だとともに、頭の中がぐるぐると回りだし、記憶がどんどん遠のいてい

      く。ああ、体がフワッとした。フワッとしたとともに記憶も途切れた。



       どれだけの時間が過ぎたのだろう。ボクには、全く見当がつかない。

      そっと、目を開けてみる。見慣れない天井だ。どうも布団に寝かされて

      いる気がする。体が重たい。顔を右に傾けてみた。子供の頃に見た、

      土壁だ。今度は左に傾けた。見覚えのあるような丸いちゃぶ台だ。頭

      を起こそうとしても持ち上がらない。耳を澄ますと、隣の部屋から


      トントントンとリズミカルな音が聞こえた。これも聞き覚えのある音た。

      母が毎朝、まな板で料理をする音だ。いい香りもしてくる。味噌汁の匂

      いだ。一体ここはどこなんだ。


       「ううん、うーっ!」


      起き上がろうとしたら、声が出てしまった。隣の部屋の音が止まった。

      パタパタという足音と共に、暖簾をたぐって女性が現れた。


       「あ、あっちゃん?」


      思わず声に出した。


       「気がつきました?ご主人様。」


      確かに彼女は、そう言った。(ご主人様っー!)


                                     (つづく)      

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        • 2016.04.04 Monday
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        コメント
        ええーっ?
        どうなっちゃっているのでしょう?
        夢の中にでも居るのかしら。
        • 太郎ママ
        • 2013/04/07 6:51 AM

        目を閉じて、頭の中に思い浮かべる。あの緑の木々が、
        洋々と海原のようにつながっていく姿を。燦々と陽の光が
        降り注ぎ、まぶしすぎる。そう、これこそが大自然の
        醍醐味だ。ボクは天を仰いだ。仰いだとともに、頭の中が
        ぐるぐると回りだし、記憶がどんどん遠のいていく。
        ああ、体がフワッとした。フワッとしたとともに記憶も
        途切れた。


        記憶も途切れ、身体もフワッと…
        無条件に心地よい体験だったのでは
        と感じ入ります


        ありがとうございます
        • ponsun
        • 2013/04/07 8:47 AM
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        どうなっちゃうんでしょうか?
        今後の展開をご期待下さい☆
        PONSUNさん コメントありがとうございます♪

        う〜ん、なかなか鋭いところを突いてきますね(笑)
        今後をご期待下さい☆
        えぇ〜〜〜っ?

        良い意味で、裏切ってくれちゃいましたね〜(笑)
        予想外の展開ですよ。
        おもしろ〜い。
        益々ワクワクしちゃいますね。

        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        期待裏切っちゃいましたかぁ〜(笑)
        次回を乞うご期待下さい☆
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