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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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      18



       ボクは彼女の一言一言に覚醒させられるようなおもいになった。


       「い、妹って、あっちゃん?」


       「そうよ・・・・・。」


      彼女の言葉は、とぎれとぎれだ。


       「わ、わたしの・・・・。私の目を見て・・・・・。」


      ボクはためらうことなく彼女を見つめた。


       「こ、これが私・・・・。本当の姿・・・・・。あ、あなたに見て欲しかっ

       た・・・・。」


       「み、見てるよ・・・・。」


      これだけ言うのが精一杯だった。みるみるうちに彼女の目から涙が溢

      れた。ボクはどうしようもない思いに駆られた。両の手が震える。抱き

      しめたい。彼女をこの手で思いっきり抱きしめてあげたい。その瞬間、

      想いは行動となった。ボクは彼女を抱きしめた。おもいきり抱きしめ

      た。


       「あなたは、大事なことを忘れてるは・・・・。」


      耳元で彼女がささやいた。その瞬間、体中に電撃が走った。


       「うわぁーっ!」


      ボクは叫んだ。と同時に、記憶は薄れていった。(ど、何処へ行くん

      だ?)




       ”ポン、ポポン、ポポンポポン、ポン、ポポン、ポポンポポン、ポポン、

        ポポン”


       
       どれだけの時間が過ぎただろう。進んだのか、戻ったのか。それさえ

      も解らない。誰かの声が、遠くから聞こえてくる。それは、だんだんと大

      きくなり、耳元まで来た。


       「なおくん、なおくん、起きて!朝ですよ。」


      ボクは静かに目を開けた。うっすらとした光景が、だんだんとハッキリし

      てきた。目の前にいるのは(あっちゃんだ!)それも保育園の制服だ。


       「お父さん、早く起きてくださいよ。」


       (お、お父さん?)


      ボクはゆくっくりと起き上がった。恐る恐る自分自身の姿を見た。


       (えーっ!こ、子供になってる〜)


      保育園の制服を着た自分だった。


       「はい、お父さん。ご飯ができましたよ。」


      彼女は、ニコニコしながら”ままごとセット”の器に土の入ったもの渡し

      た。何となく、状況は把握できた。というか、思い出してきたというか、と

      ても懐かしい風景だった。




       ここは、あっちゃんの家の裏山である。緑の木々が茂り、少しだけ砂

      場のようになったくぼみが、ふたりのお気に入りの場所だった。ここ

      で、保育園が終わったあと”ままごと”をしたのだ。記憶がだんだん鮮

      明になって来た。その鮮明な記憶とともに、心もその当時の幼い自分

      になっていくのがわかった。


       「はい!お父さん、ご飯食べましたか?」


      あっちゃんが言った。


       「うん、食べたよ。」


      そう言って、食べる格好だけしてお椀の砂を下に流した。


       「はい、お茶よ。」


      赤いコップを渡された。中には何も入ってない。それでもボクは飲む格

      好をした。


       「ああ、美味しかった。」


      ボクが笑顔で答えると、彼女も笑顔を返した。


       「お風呂にしますか?」


      彼女は、すっかりお母さんぶってる。


       「うん、そうしよう。」


      ボクも負けずにお父さんぶった。




       そうこうしているうちに、日も傾きかけて来た。下から誰かの声が聞こ

      える。


       「あつよ〜!もう降りてらっしゃーい!」


      聞き覚えのある声だった。


       「もう、おねいちゃんったら、いいとこなのに・・・・。」


      彼女は不満そうな顔をした。


       (おねいちゃん・・・・。)


      ボクの頭を不思議な感覚がよぎった。


       「ねえ、なおくん?」


      あっちゃんが急に僕に向かって問いかけた。


       「・・・・・・・・。」


      なんだか真剣な眼差しに見えて、ボクには言葉が出てこない。


       「なおくん、大きくなったら・・・・・。」


      そこで言葉が、いったん止まった。ボクは息を飲んだ。


       「大きくなったら、わたしを・・・・・。わたしをお嫁さんにして!」


       「・・・・・・・・・。」


      ボクの頭は、ハンマーで殴られたようにじんじんしてきた。





                                   (つづく)

       
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        • 2016.04.04 Monday
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        • 20:31
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        コメント

        大きくなったら、わたしを・・・・・。わたしをお嫁さんにして!

        ドキッとしたのでしょうね

        子供の頃が蘇ってきます


        ありがとうございます
        • ponsun
        • 2013/05/11 6:54 AM
        あれれ、混同しちゃいますねぇ。
        ミドリちゃんとあっちゃん・・・
        どうなっちゃうのでしょう?
        • 太郎ママ
        • 2013/05/11 7:36 AM
        PONSUNさん コメントありがとうございます♪

        子供の頃って、平気で異性とままごと遊びが出来ましたよね(笑)
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        すいません、また混同してきましたね(笑)
        最後には、スッキリしていただけるようにとは。。。
        おはようございます。

        グイグイと、おままごとの世界まで
        入り込んでしまいました。

        こちらまで、ジンジンしてきそうな、
        そんな気持ちになりましたぁ。
        • 夏雪草
        • 2013/05/13 5:42 AM
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        おままごとの世界まで入り込んでいただき、嬉しく思います!
        さらに、ジンジンしていただきましょう〜(*´∀`*)
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