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    『 幻 愛 』 〜 詩小説 6 〜

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      23


        ボクは全身に力を入れた。(よ、よし!立ち上がれるぞ。)


       「だ、大丈夫?」


      あっちゃんがボクに駆け寄ってきた。その勢いに負けて、23歩うし

      ろへよろめいた。


      彼女は、ボクの腕と肩をつかむと支えてくれた。それなのにボクは、

      振りほどくように彼女のことを押しやった。


       「どうしたの?」


      彼女はけげんな顔をした。


       「き、きみは、だ、誰なんだ。。。」


      ボクは必死に声を出した。彼女は答えない。ボクは改めて、あたりを

      見渡した。


       (あ、あった、ボクのだ・・・・・。)


      倒れてしまったイーゼルと画材を取ろうとした、その時だ!


       「あ、あなたは、なにもみてないはわ!」


      彼女が叫んだ。


       「あ、あなたは、真実を見てない!」


      彼女は続けた。


       「あ、あなたが、東京のビルの上で書いていた絵は嘘だわ!何も見

        てない!」


      ボクには反論ができない。確かにそうだ。黙ったままのボクを彼女は

      見つめた。少しの沈黙の後で、取り乱した自分を恥じるかのように彼

      女は語りだした。


       「ねえ、直くん。ここの景色、見てよ。私たちが遊んだ頃といっし

        ょ?」


      彼女は涙ぐんでるようにも見えた。言葉を選んでるのか、会話が途切

      れた。確かに彼女の言う通り、ここは変わってしまった。いや、ここ

      だけじゃない。開発という名のもとに自然が平然と壊されていた。


       ボクはしゃがんで、散らばってしまった画材を集めた。それはま

      た、現実から目をそらす愚かな行為の始まりにも思えた。彼女が、少

      しづつボクに近寄ってくるのが解った。


       「そう、あなたは、そう ・・・・・。いつもそうやって現実から

        背をむけるの?」


      彼女はつぶやくようにささやいた。もう、ボクの直ぐそばにいた。


       「あ、あ、いや ・・・・・。」


      そういうのが精一杯だった。


       「あなたが、現実から目をそらし、東京へ行ってしまい 

        ・・・・・。悲しかった ・・・・・。」


      彼女の目から涙がこぼれた。


       「ボ、ボクは ・・・・・。ボクは逃げたんじゃ ・・・・・ 逃

        げたんじゃない。」


      ボクは彼女の前に立ち上がった。次の瞬間、彼女の顔はボクの横にあ

      った。彼女は倒れこむようにして、ボクにつかまった。





       時よ、止まるものならば永遠に時間を止めて欲しい。心の中で何度

      もそう願った。彼女はひとしきり泣くと徐々に冷静さを取り戻してい

      った。ボクには、どうしても聞きたいことがあった。それは、あっち

      ゃんのお姉さんの事だ。もう、のど元まで出てきている。しかし、そ

      こから先が問題だ。彼女に自分が体験したことを話して、果たして信

      じてもらえるだろうか。いちまつの不安はあるものの、意を決して言

      葉にした。


       「ね、ねえ、あっちゃん?」


      ボクは言葉に困った。彼女はボクを見つめている。その眼差しが辛

      い。


       「あ、あの、あっちゃんのお姉ちゃんだけど ・・・・。」


      彼女はうつむいた。


       「み、みどりさんだよね?」


       「 ・・・・・・・・・。」


      返事はなかった。ボクには言葉が出ない。


       (いいや、このままで ・・・・・。)


      その時だ、彼女の口が開いた。


       「お、おねいちゃんは ・・・・・・ し、しんだの 

        ・・・・・・。」


      ボクは耳を疑った。



                          (つづく)




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        • 2016.04.04 Monday
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        • 22:40
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        コメント
        久しぶりに続きが読めました。
        これからの展開が気になります。
        • 太郎ママ
        • 2013/07/10 7:49 AM
        こんにちは。
        続き、待ってましたぁ〜。
        楽しみですね〜。

        あ、あなたが、東京のビルの上で書いていた絵は嘘だわ!
        何も見てない!

        ドキッとする発言ですね

        真理を突いているのでしょう


        ありがとうございます
        • ponsun
        • 2013/07/11 7:34 AM
        太郎ママさん コメントありがとうございます♪

        はい、久しぶりの登場となってしまいましたm(_ _)m
        この小説は書き溜めていたものでなく、書きながら更新してます(*^^)v
        夏雪草さん コメントありがとうございます♪

        お待たせしました〜 産みの苦労を味わってます(笑)
        PONSUNさん コメントありがとうございます♪

        さすが!鋭いところに目をつけていだだき嬉しく思います(^o^)/
        ある意味、現代社会を生きる皆さまへの警告になっています☆
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